名古屋市緑区役所 インタビュー

様々な世代の区民が協働して住みよいまちづくりに取り組む名古屋市緑区

名古屋市緑区は人口24万人を突破し、いまなお人口増加傾向が続いている活気のある区だ。区政で重点的に取り組まれているキーワードは、「4つのK」。「危機管理(防災)Kikikanri」「子育て支援 Kosodate」「高齢者支援 Koreisha」「観光推進 Kanko」が区政運営の上で重要な軸になり、区民がより豊かな生活を送ることができるよう努めているのだという。では、それらの指針をもとに具体的にどんな取り組みがなされているのだろうか。緑区役所を訪ね、お話しを伺った。

【右手前】名古屋市緑区役所 地域力推進室 主査 城倉未来さん、【右奥】福祉課 主査(地域包括ケア推進担当)山田昌美さん、【左奥】企画経理室 主査 針ヶ谷知宏さん、【左手前】総務課 主査(防災担当) 岩城道雄さん、【中央】マスコットキャラクターのみどりっち
【右手前】名古屋市緑区役所 地域力推進室 主査 城倉未来さん、【右奥】福祉課 主査(地域包括ケア推進担当)山田昌美さん、【左奥】企画経理室 主査 針ヶ谷知宏さん、【左手前】総務課 主査(防災担当) 岩城道雄さん、【中央】マスコットキャラクターのみどりっち

区政の重要な柱は「4つのK」

―まず始めに、緑区の特徴について教えてください。

針ヶ谷さん:緑区は近年、住宅地が増えている地域であり、人口が16区の中で一番多く、24万を突破しています。昔から住んでいらっしゃる方も多いのですが、若い世代の流入も多く、0~15歳の子どもの数が市内で最も多い地域でもあります。そういう意味では活気がある街なのではないかと思っています。そんな緑区で重点的に行っている取り組みが、「緑区区政運営方針 みどりっちプラン」に示してある「4つのK」です。「危機管理(防災)」「子育て支援」「高齢者支援」「観光推進」、この4つの分野には特に力を入れています。

「4つのK」が書かれたプランについて語る針ヶ谷さんと山田さん
「4つのK」が書かれたプランについて語る針ヶ谷さんと山田さん

―なるほど。では、防災についての取り組みを教えていただけますか。

岩城さん:緑区は防災先進区として様々な取り組みを行っています。他区に先駆けて行った「宿泊型避難所開設訓練」では、大規模地震により自宅で生活できなくなったことを想定し、避難所運営や避難所生活を体験するなど実災害に即した訓練を実施しています。この訓練は先進事例として「平成26年度防災白書」(内閣府)にも掲載されました。また、区制50周年を機に、毎年秋に「緑区防災フェスタ」を開催するようになりました。今年で4回目を迎え、実物大の建物を使った木造住宅模型の耐震実演や起震車体験、煙道体験など様々な体験型プログラムを用意しており、誰もが参加しやすいイベントですので、これまで防災に関心がなかった方の意識を高めることにも繋がっています。

「緑区防災フェスタ」会場の様子
「緑区防災フェスタ」会場の様子

―高齢者支援はどのような取り組みがされているのでしょうか。

山田さん:緑区は、現状の高齢化率はそれほど高くありませんが、今後、高齢者の方々が増えていくことが予想されています。高齢者の方々が住み慣れた地域で暮らしていけるよう、様々な取り組みを進めています。
緑区の中にある鳴子団地は、UR都市機構が昭和37~39年度に開発した大きな団地で、年月が経過するにつれ、一時期高齢化率が40%を超えるほどになっていました。そのため、鳴子団地は超高齢化が進む日本の将来のモデル地域として様々な機関から着目されました。「名古屋市立大学」と「名古屋学院大学」および「名古屋工業大学」の連携によって行われている地域と育む未来医療人『なごやかモデル』は、緑区の鳴子団地がフィールドになっており、学生や若い人材が住民と協働して、いつまでもその人らしく暮らせる社会づくり(エイジング・イン・プレイス、AIP)に取り組まれています。最近はUR住宅の建て替えが進んで、若い世代も流入してくるようになりました。いろいろな方が意見を出し合い、若い世代と高齢世帯がいい形で手を結んでいく施策が進められています。

「なごやかモデル」のフィールドでもある鳴子団地
「なごやかモデル」のフィールドでもある鳴子団地

豊かな歴史・文化が集まる緑区

―次に、観光施策をはじめ、緑区にある歴史・文化の魅力を教えてください。

城倉さん:緑区の歴史や文化を紹介するときは、大きく鳴海・有松・大高・桶狭間・徳重と5つの地区に分けて語ることが多いです。鳴海は東海道の宿場として栄えた街で、有松は無電柱化で蘇った近世の町並みや有松絞りが知られています。大高は酒造りで有名な場所で、現在でも3軒の蔵元があり、見学できるところもあります。桶狭間も織田と今川の合戦の地として全国的に知られています。こうした貴重な財産を保存・活用しているのが緑区の魅力のひとつです。それを知ってもらうため、ボランティアグループ等と協働して史跡散策マップを作成し、定期的に散策会も行っています。いつもたくさんの方にご参加いただき、好評を得ています。最近では海外からの観光客も多いので、英語版の緑区観光マップも作り、PRを行っています。

―今、最も注目を集めているエリアはどこでしょうか。

城倉さん:今年は有松にとても注目が集まっています。2016(平成28)年7月に、有松の町並みが、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されました。それと関連させたイベントで、10月2日に有松の町並みの魅力と今後の展望を語るシンポジウムを行いました。ちょうどその日は、有松で毎年行われる3台の山車が曳き出される秋季大祭と重なり、見学者も多くとても盛り上がりました。地元の方にお伺いすると、観光客が増えている実感があるそうです。

国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された有松の町並み
国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された有松の町並み

―このエリアには神社仏閣も多いですよね。

城倉さん:特に東海道の宿場として栄えた鳴海には、神社仏閣が多いですね。東西の有名な俳人や文人の交わりが多い場所としても有名で、例えば、松尾芭蕉存命中唯一の碑である千鳥塚があります。千鳥塚碑文は芭蕉の直筆とされており、芭蕉の句碑の中で最古のものだと言われています。

―2011(平成23)年には名古屋市営地下鉄、野並・徳重間の開通や名古屋第二環状自動車道の開通もあり、交通の利便性も高まったかと思います。

針ヶ谷さん:「徳重」駅の周辺は、大型商業施設もでき、若い世代の流入が特に多い地域ですね。「徳重」駅には、「ユメリア徳重」という「緑区役所 徳重支所」等共同ビルがあり、支所のほか「徳重図書館」などが入っています。自由に利用できるスペース、ミーティング専用のスペース、小さいお子様のためのキッズスペースなど、誰でも気軽に集い、憩える交流の場所にもなっています。「鳴子北」駅にも、「鳴子北駅バスターミナル」が新設され、各地へのバスが多数発着する拠点となるターミナルになっています。交通の便の良い場所なので、人が動きやすい拠点のひとつになっているのではないかと思います。

区制50周年を機に、さらにまちを盛り上げる

―2013(平成25)年が区制50周年だったということでしたが、地域のさらなる活性化に向けて新たに始めた取り組みはありますか。

山田さん:先ほども話しに出た『なごやかモデル』も2013(平成25)年に始まったのですが、その他に、同年から「国立長寿医療研究センター」と認知症に対応できる地域づくりのプロジェクトを共同実施しています。最初は3年という期間で行ったのですが、認知症への取り組みはさらに必要だろうということで、今年度プロジェクトの延長を行いました。また、現在は養成された認知症予防スタッフの地域活動促進を検討しているところです。

緑区のマスコットキャラクター“みどりっち”
緑区のマスコットキャラクター“みどりっち”

―マスコットキャラクターの“みどりっち”はいつ誕生したのでしょうか?

城倉さん:2011(平成23)年に全国公募してデザインが決定しました。その年の「緑区区民まつり」で来場者による名称の人気投票を行って、名前が「みどりっち」に決定しました。50周年に向けて作ったキャラクターで、誕生以降、毎年区民まつりや、防災フェスタなど様々なイベントで活躍中です。その後、2012(平成24)年に、みどりっちの歌もでき、2013(平成25)年には、50周年を盛り上げるため、「どまつり」に緑区を拠点に活動する「どまつりチーム」とコラボした「ダンシング・みどりっち」が登場し、キレのよい踊りを披露しました。

―最後に、緑区の中でも鳴子地区の魅力についてひとことお願いします。

岩城さん:防災の観点からいうと、津波被害の可能性は非常に低い地域です。2014(平成26)年に発表された南海トラフ巨大地震の名古屋市全体の被害想定に基づいた地震ハザードマップがあるのですが、それを見ても液状化の可能性も小さいと考えられています。

地震ハザードマップについて教えてくれた岩城さん
地震ハザードマップについて教えてくれた岩城さん

山田さん:福祉の面での事業サポートが厚いのも魅力なのではないでしょうか。鳴子団地ボランティアセンターでは「土曜サロン鳴子」が開催されており、一人暮らしの高齢者などの孤立を防ぐ事業も行われています。そこには、『なごやかモデル』の学生の方なども参加してくださっており、様々な世代が協力して地域包括ケアシステムのモデルづくりに取り組んでいるのも、心強いポイントかと思います。

鳴子エリアのバス停
鳴子エリアのバス停

城倉さん:交通の便もいい場所ですし、UR住宅の建て替えも行われて、若い人も増えています。商業施設も増えており、これから開発される余地が残された土地がまだあるので、今後さらに開発が進んでいくところだと考えています。地域包括ケアも含めて、これからどう変わっていくかが楽しみなエリアです。

名古屋市 緑区役所
名古屋市 緑区役所

名古屋市緑区役所

地域力推進室 主査 城倉未来さん
福祉課 主査(地域包括ケア推進担当)山田昌美さん
企画経理室 主査 針ヶ谷知宏さん
総務課 主査(防災担当)岩城道雄さん
所在地:名古屋市緑区青山2-15
TEL:052-621-2111(代表)
URL:http://www.city.nagoya.jp/midori/
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。