スペシャルインタビュー

異年齢保育で、子どもたち自らが遊びを作り出す「くまのまえ保育園」の保育とは

2012(平成24)年4月、「社会福祉法人 池内福祉会」が運営する保育園として開園した「くまのまえ保育園」。こちらの園の最大の特徴は、1~5歳児の異年齢保育。子ども主体の生活、遊びを大事にした保育を行っています。そんな「くまのまえ保育園」について、園長の筧美智子先生に詳しいお話を伺いました。

異年齢が関わり、一人ひとりの個性を見つける保育園

遊びは与えられるのではなく、園児が自ら考え作り出す
遊びは与えられるのではなく、園児が自ら考え作り出す

――園の概要について教えてください。

筧園長先生:当園は「社会福祉法人 池内福祉会」が運営しており、2012(平成24)年、名古屋市の待機児童対策の一環で開設した認可保育園です。「社会福祉法人 池内福祉会」が名古屋市内で運営する3つの保育園に次いでの開園になります。緑区は名古屋市内でも近年若い世代の転入が特に多い地区で、「くまのまえ保育園」は緑区の中で30番目くらいにできた保育園になりますが、その数は今でも増え続けており、現在は50園を超えているんです。

――「くまのまえ保育園」には何名くらいの園児が通われているのですか。

筧園長先生:現在は98名の子どもたちが在園しています。「くまのまえ保育園」は1から5歳が同じクラスに会する異年齢保育を、1クラス20名程度で実施しています。その他、別途0歳児クラスがあります。一時保育も行っており、毎日10人前後のお子様に来ていただいています。

子どもたちの“やりたい”に寄り添う

「くまのまえ保育園」園長 筧美智子先生
「くまのまえ保育園」園長 筧美智子先生

―v―「くまのまえ保育園」の特徴はどういったところにありますでしょうか。

筧園長先生:やはり異年齢保育をしているところですね。年齢ごとの発達課題を追いかけていくという保育方法ではなく、異年齢保育活動を通して、年齢が上の子に憧れたり、下の子に慕われたりする中で、それぞれの子が自分の生活課題を見つけて皆で乗り越えていくという関係性を作ることができるのがこの保育のメリットです。とくに幼少期の発達スピードは子どもによって千差万別で、同年齢の子が集まってその年齢に合わせた課題を与えて乗り越えさせようとしても、それを軽くできる子もいれば、できない子もいます。そうすると、いつもできる子に必死でついていかなければならない子が出て、しんどい思いをすると思います。異年齢保育では、いろんな年齢の子と関わるため、いろんな子がいるということを知るきっかけにもなります。一人ひとりの個性を認め、受け入れることが人と関わる「力」となります。そういったものを育てたいなと思っています。

異年齢の園児が一堂に会する食卓
異年齢の園児が一堂に会する食卓

――異年齢保育の中で大切にしていらっしゃることは何でしょうか。

筧園長先生:当園では「子どもが主体的に生活する」ということを大事にしているので、与えられる保育ではなく、子どもたちが考えて、子どもたちがしたいということをどう叶えていくかに主眼を置いています。例えば、食事でも保育士が決められた量を一斉に配るのではなく、子どもたちの「今日はおかずを多く食べたいな」「これは嫌いだから食べたくないな」という判断もなるべく子どもたちに任せるようにしています。年齢を積んでくる中で、好きなものばかりいっぱい食べてしまったら他の子の分がなくなってしまった…、といった状況を見渡せるようになったり、嫌いなものにも挑戦しようという気持ちが自然と沸き起こってくるのを待つように心がけています。「大人が教え込むのではなく、子どもが生活していく中で分かっていく」というのが一番重要なのかなと思っています。

ごはんを自分で盛り付ける姿も見られる
ごはんを自分で盛り付ける姿も見られる

筧園長先生:食事はビュッフェ形式のような感じで各クラスに置かれるのですが、一歳の子でも「自分でお皿に盛りつけたい!」という気持ちが芽生えるようで、おかずやご飯を自分でよそっているんですよ。もちろん最初のうちはこぼしてしまうこともあるのですが、そういう場面を見た大きい子どもたちがサポートしたりする光景もあるんです。

“おうち”感覚ですごすことができる園舎内

各クラスの教室(=おうち)にあるダイニングスペース
各クラスの教室(=おうち)にあるダイニングスペース

――園舎にも特徴があるように思うのですが、どのようなコンセプトで設計されているのでしょうか。

筧園長先生:保育園という感じではなく、家にいる感覚で園児が過ごせるような空間を作りたいと考えました。基本的には木のぬくもりが感じられる造りにしていて、各クラスの部屋には、玄関、ダイニングスペース、畳の遊びスペース、トイレがあり、本当の家みたいな構成になっています。呼び方も「教室」ではなく、あえて「おうち」と言うようにしており、各「おうち」ごとに1日を過ごすという感じになっています。給食室も敢えて「台所」と呼んでおり、「おうち」にある「台所」というイメージで、調理職員がコミュニケーションを持つことができるように低く設定してあり、あちこちから子どもたちが来て「今日のご飯はおいしかった」とか、「またこのおかずを作ってほしい」ということを気軽に言い合えるようにしています。

各園舎が家のような造りになっているのが特徴的な「くまのまえ保育園」
各園舎が家のような造りになっているのが特徴的な「くまのまえ保育園」

――食育にも力を入れていらっしゃるとお伺いしました。

筧園長先生:各「おうち」の前には「あんず」「ゆず」「やまもも」「かりん」の木が植えてあります。これは各「おうち」の名前でもあるのですが、果実の木ですので、年に一度実がなり、それを収穫しています。ゆず茶やジャム、ジュースなどを作って食べたり、他の「おうち」の子どもたちにおすそ分けをしたり、まさにご近所づきあいをする感覚でやっています。各「おうち」の前には小さな畑もあり、シソなどを植えています。生活の中で出てきた収穫物でクッキングを行うことが当園の食育です。

――布おむつを使っていらっしゃることもこだわりですか。

筧園長先生:おしっこが出たら気持ち悪いということを感じてもらいたいなと思ったので布おむつを使うようにしています。今、紙パンツはとても性能がよくおしっこが出たという感覚が分かりにくくなっています。早くおむつが取れたらいいなということではなく、大人と子どもが「おしっこ出た」「そうなんだね、じゃあきれいにしようか」というやりとりが上手くできるようにしたいなと思ったからです。時間でおむつを替えるのではなく、子どもも大人もお互いにおむつを替えるべきタイミングをコミュニケーションで分かり合える…そんな状況を大事にしたいと考えています。

自然豊かでのびのびと過ごせる子育て環境が魅力の徳重

「すくぽか広場」の様子
「すくぽか広場」の様子

――「すくぽか広場」について教えていただいてよろしいでしょうか。

筧園長先生:「すくぽか広場」は月に3回行っている子育て支援の場です。2階のホールと子育て支援室を開放し、普段は一人で子育てをしていらっしゃる父母の方が情報交換や悩み事を相談できる場所にしています。夏のプールの期間は特に人気があり、市営プールなどよりも子どもたちが気楽に入ることができるということで、多くの親子にご利用いただいています。一人で子育てをしていると煮詰まってしまうことも多いと思います。しんどい思いをしていらっしゃる親御さんが「すくぽか広場」にいらっしゃった場合、当園では一時保育も行っているので、一時保育の利用を勧めさせていただくこともあります。1か月に3回まででしたら、「リフレッシュ保育」という保護者の方の育児疲れの解消を図った取り組みもあるので、お子様をお預けいただいてもいいのではないかと思います。

園の斜め向かいにある「兵庫公園」
園の斜め向かいにある「兵庫公園」

――お散歩へはどのあたりに行かれますか。

筧園長先生:この辺りは本当に公園が多いエリアで、毎日のようにお散歩に出かけています。園舎の廊下にお散歩表が貼ってあり、今日も全クラスの園児が出かけています。園のすぐ斜め向かいにある「兵庫公園」は運動のためのコートがあり、園児が走り回ることもできますし、「鏡田公園」、「藤塚公園」も近いのでよく行きます。「みどりが丘公園」も大草原が広がっていますし、県道36号を渡ったところには「熊野社」という神社があります。神社の裏が小高い山になっていて、里山の風景を感じられるようなところで子どもたちがとても喜ぶ場所なんです。

――園長先生の考える緑区の魅力はどんなところでしょうか。

筧園長先生:緑区はまだまだ自然がたくさん残っている地域で、適度に畑なども残っていますし、木も植わっていて、子育てをするにはいい環境が整っている地域だと思います。「熊野社」も素敵ですし、「涼松せせらぎの道」では水遊びができたりもします。田んぼにおたまじゃくしがいるのを観察したり、捕まえたりする体験ができるということは、現代においてとても貴重なのではないかと思います。ご両親も名古屋市内や豊田方面でお仕事をされている方が多く、職場へのアクセスも良いと聞きます。小さなお子様がいるご家族にとってはとても便利な場所なのではないかと思います。

筧美智子先生
筧美智子先生

くまのまえ保育園

園長 筧美智子先生
所在地:愛知県名古屋市緑区兵庫1-1610
TEL:052-877-9022
URL:http://ikeuchi.main.jp/kumanomae_1.html
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。