名古屋市東区役所 地域力推進室・企画経理室 インタビュー

重厚な歴史と文化が根付き、文教地区としての魅力をもつ名古屋市東区の魅力とは。

2018(平成30)年4月に区制110周年を迎えた東区。その歴史は、徳川家康が清須から現在の場所に名古屋城の築城を始めた、いわゆる「清州越し」によって寺町や武家屋敷などが作られたことに始まる。現在でも歴史の面影を感じられるエリアは多く、また、教育に力を入れている文教地区としても知られている。今回は「名古屋市東区役所」を訪れ、地域力推進室と企画経理室の方々に東区の特徴や取り組んでいる事業などについてお話を伺った。

今回取材にご協力頂いた前田さん 千田さん 櫻井さん(写真左から) 
今回取材にご協力頂いた前田さん 千田さん 櫻井さん(写真左から) 

――東区の特色について教えてください。

千田さん:東区の北西部から中心部にかけては閑静な住宅街が続きます。北部の大曽根地区は文化小劇場や図書館、スポーツセンターといった市の施設が集積している場所。近くには「ナゴヤドーム」もあるので、野球やコンサートなども多いですし、区内外から多くの人が集まります。東部は高層住宅が林立している場所で、南部は名古屋の繁華街である久屋大通に面し、「愛知芸術文化センター」や「名古屋市芸術創造センター」といった文化施設がある場所でもあります。

古い町並みが残る
古い町並みが残る

東区が歴史深い場所であることを象徴するエリアは「白壁・主税・橦木」地区です。江戸時代の武家屋敷の雰囲気や明治、大正時代の建築物が数多く残り、町並み保存地区に指定されている場所です。このエリアには国の重要文化財に指定されている「名古屋市市政資料館」や、日本の女優第一号といわれている川上貞奴が住んでいた建物を移築・復元した「文化のみち 二葉館」などもあり、名古屋市の歴史まち歩きコースのひとつにもなっています。

「文化のみち 二葉館」
「文化のみち 二葉館」

――様々な史跡散策ルートがあるとお伺いしました。

櫻井さん:東区には、「武家屋敷散策コース」「寺町めぐりコース」「街道めぐりコース」「森と坂道散策コース」「矢田川散策コース」という5つの史跡散策路ルートが整備されています。武家屋敷のあたりが注目されがちですが、矢田川近辺にも無住国師ゆかりの「長母寺」や瀬戸街道などもあり、コースの途中には河川敷を利用した緑地や公園もあるので、自然を感じながら歩くことができるコースも用意されています。

東区では、「白壁・主税・橦木 町並み保存地区」を中心とした「名古屋城」から「徳川園」に至るエリアを「文化のみち」と呼んでいます。そこで毎年11月3日の文化の日には「歩こう!文化のみち」というウォークラリーイベントを実施しています。今年は第20回の記念の年なので、「山吹谷公園」でもイベントを開催する予定です。

山車とぶら~りMap
山車とぶら~りMap

――東区は歴史があるエリアというイメージです。「山車まつり」も有名ですよね。

千田さん:東区には筒井町と出来町という2つのエリアに江戸時代から続く「山車」が残っているんです。「山車まつり」というのは、毎年6月の第一土曜日・日曜日にそれぞれの町で行う「天王祭」のことです。山車が町内を回り、人形からくりや人形囃子、力持ちなどを披露するんです。6月第一日曜日の昼には「徳川園山車揃え」が行われ、筒井町と出来町の5輌の山車が「徳川園」に集まり、技の演技が繰り広げられます。「天王祭」の期間中、5輌が揃うのはここだけなのでとても見ごたえのあるものとなっています。

――その他に東区の特徴を挙げるとしたらどんなことがありますでしょうか。

櫻井さん:東区は高校の数が市内で2番目に多い文教地区としても知られています。ボランティア活動や様々なイベントに参加してくださる学生さんが多く、区役所で働いていても若い方の力を感じる地域だなと思います。「山車まつり」に関してまとめた「東区 山車とぶら~り」というリーフレットは、東区にある「名古屋市立工芸高等学校 グラフィックアーツ科」の生徒さんが取材、撮影、編集をすべて担当して仕上げてくれた一冊なんです。その他にも、「愛知商業高校 書道部」の方には「徳川園山車揃え」のうちわの題字や、区役所1階に置いてある記念撮影用メモリアルボードの「寿」という字などを書いてもらっています。

記念撮影用メモリアルボード
記念撮影用メモリアルボード

――大曽根地区にも最近「名城大学 ナゴヤドーム前キャンパス」ができて活気がありますよね。

櫻井さん:「名城大学 ナゴヤドーム前キャンパス」の1階には、「ムーガーデンテラス」というカフェテリアレストランがあるのですが、平日の13時以後と土日は一般の方もご利用いただけるそうで、小さい子どもを連れたママさんたちがよく集まっていると聞いています。

――暮らしの安心・安全という面では、東区はどのような取り組みをされているのでしょうか。

稲垣さん:東区には「東区安心・安全で快適なまちづくり推進協議会」という、行政や警察、消防、そして地域の皆さんが参加されている組織があります。そこでは、「交通安全」「防犯」「防災」「街をきれいにする清掃活動」「青少年の健全育成」という、主に5つの観点から毎年様々な活動を実施しています。例えば毎月10日、20日、30日の「交通事故死ゼロの日」には、各地で街頭啓発活動などを行っているほか、交通安全に関するイベントや防犯の講演会、安全パトロールなども実施しています。東区の皆さんは本当に熱意をもって活動してくださる方が多く、大変感謝しております。

安全パトロールの様子(引用:名古屋市東区HP)
安全パトロールの様子(引用:名古屋市東区HP)

その一方で、若い方や新しく東区に引っ越されてきた方などは、なかなかこのような地域活動との接点が少なく、実際にどんなことをしているのかわからない方も多いのではないかと思っています。そこで、より地域活動について興味を持ってもらうべく、『今日も、地域へ帰ろう。』とキャッチコピーを作り、東区のホームページに地域活動情報を載せたり、活動写真を使ったはがきサイズのカレンダーを配るなど、日々情報を発信しています。自分が地域活動に参加することは難しくとも、身近に感じてもらうことで自治会や町内会への加入を促進し、地域活動を応援する空気が高まることを願っています。

――最後に、東区の中でも砂田橋・茶屋ヶ坂エリアの特徴や、東区で今注目されているエリアについて教えてください。

千田さん:砂田橋エリアは、新設された「名城大学ナゴヤドーム前キャンパス」のほか、明治時代から歴史のある「名古屋中学校・高等学校」もあるなど、教育施設が多い場所でもあります。また、近くの「大曽根」駅は名鉄もJRも地下鉄も通っていてとても便利ですし、「砂田橋」駅・「茶屋ヶ坂」駅を通っている名城線は環状線になっているので、栄や金山までもすぐ出ることができます。

櫻井さん:東区の区民アンケートの中で、「あなたが東区に抱くイメージ」をお尋ねする設問があるのですが、昨年度の第一位の回答は「交通の便に恵まれた利便性の高いまち」でした。実際に東区に住んでいらっしゃる区民の方が抱いているイメージですので、アクセスの良さを感じていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。

オアシス21
オアシス21

千田さん:今注目のエリアとしては、「久屋大通公園」周辺でしょうか。「オアシス21」は夜のライトアップが外国人観光客から人気のスポットになっております。また、「久屋大通公園」では再整備工事が行われており、工事が終わると合計10,000平方メートルの5つの広場と1つのテラスからなる空間が誕生します。そこで様々なイベントができ、「交流のインフラ」となる場所として期待されています。それだけでなく、都心の「防災や減災のインフラ」という機能も持つ公園になると言われています。2020(令和2)年7月に予定されているグランドオープン後は、どんな風に生まれ変わるのか私たちも楽しみにしている場所です。

名古屋市東区役所
名古屋市東区役所

名古屋市東区役所

企画経理室 櫻井さん
地域力推進室 稲垣さん、前田さん、千田さん
所在地 : 愛知県名古屋市東区筒井1-7-74
電話番号:052-935-2271
URL:http://www.city.nagoya.jp/higashi/
※この情報は2019(令和元)年5月時点のものです。