整備中の「パロマ瑞穂スポーツパーク」がシームレスにつながるみんなの公園へ
瑞穂公園の多様な価値を再編集し、スポーツをもっと自由に、楽しく、みんなのものにする、瑞穂LOOP。 「LifeSports-Our Own Park」をコンセプトに、 「観る」「競う」から「遊ぶ」「リフレッシュ」までスポーツのスタイルを多彩に広げ、 日常のとなりで、こころとからだに活力や安らぎを生み出す公園として生まれ変わります。
山崎川をまたぐ「8の字ループ」の完成も待ち遠しい今、これからどのような公園になっていくのか、また、私たちはどのように関わることができるのか、「パロマ瑞穂スポーツパーク」の鷹野優基さんと河合俊樹さんに公園の将来像についてお聞きしました。
みんなが利用したくなる、さらに笑顔が増える公園に
――まずは、公園のコンセプトについて詳しく教えてください。
鷹野さん:コンセプトは『LifeSports- Our Own Park スポーツをもっと自由に、楽しく、みんなのものに』です。これは、「LifeSports」とあるように「スポーツを暮らしの中に」ということと、「Our Own」とあるように地域の方々が公園づくりに参加して「自分の公園に」して欲しいという意味を込めています。コンセプトの頭字語から「瑞穂LOOP」として、ここに来たらストレッチをしたくなったり、深呼吸をしたくなったり、気持ち良い環境に整えることを目指しています。
もともと、血が体を巡るように公園の隅々まで人が行き渡るような公園にしたいという願いを「LOOP」に込めました。そして、公園内の流れを作り出すために、山﨑川をまたぐ8の字ループの橋を設けることで、川のあちら側とこちら側を分断させず、公園内をシームレスにつなぐことができます。これにより、スポーツ施設も児童園も散策路も全てを含んだ公園全体のポテンシャルを高めていきます。
――現在、整備が進められているところですが、完成した部分と、今後の計画を教えてください。
鷹野さん:児童園の状況でいうと、「北児童園」の整備が完了。また、「東児童園」は2024(令和6)年9月に完成・供用開始、その後、「南児童園」で3,000平米以上の芝生広場の整備などが始まります。そのほか、ラグビー場の横のスケートボードエリアも着工中です。メインとなる新スタジアムの完成を含めた公園全体の完成は2026(令和8)年春を予定しています。
――児童園はどのようなイメージで整備されているのでしょうか。
鷹野さん:「インクルーシブ」をキーワードに、利用者の分け隔てなく、誰もが利用できる公園を目指しています。これまでは北、東、南それぞれの児童園が独立していた認識があったと思いますが、瑞穂公園全体の中の児童園として捉えてもらうために、境界を意識させない開放感のある児童園に設計しています。「北児童園」は山崎川沿いの散策路との一体化、「南児童園」は山崎川との一体的な親水空間に、「東児童園」は緑陰広場の森から続く空間にして、傾斜を利用した冒険遊具などを残しながら整備しています。
――完成した「北児童園」の様子はいかがでしょうか。
鷹野さん:整備前の「北児童園」は木々に囲まれたうっそうとした雰囲気の公園でしたが、芝生広場に整備して山崎川散策路から立ち寄りやすい空間になりました。ベンチやネットに座ってくつろいでいる利用者さんの姿をよく見かけます。小さなお子さんを連れた方、高校生、高齢者まであらゆる世代の方が利用されている様子を見ると、憩いの場として使っていただいている実感があります。
――地域の方、市民のみなさんが公園に関わることができると聞きましたが、具体的にどのような内容でしょうか。
鷹野さん:今回の「名古屋市瑞穂公園陸上競技場整備等事業」ではPFIを活用し、公園の運営者と設計者が連携をとりながら、大勢の地域の方に関わっていただくソフト面の事業展開をポイントにしています。例えば、「グリーンフラワープロジェクト」といって、花壇のデザインワークショップを開いてみなさんの意見を取り入れながら、一緒に種まきをしたり、花植えをしたり、児童園の空間づくりを行っています。3月にプロスポーツ選手を交えての桜の植樹イベントを行いましたし、以前と比べてたくさんの方が公園に関わっていただいています。
――公園全体の整備が完成したら、どのような方が来園されることを期待されていますか。
鷹野さん:公園全体の供用が開始された後は、大きなプロスポーツ大会から先ほどのようなグリーンフラワープロジェクトまで、いろんな方に利用していただけるイメージが湧いています。スポーツが趣味の方はもちろん、講座に参加する方や散歩に訪れる方、児童園の遊具で遊ぶお子さんなど、「パロマ瑞穂スポーツパーク」が運動公園に位置付けされているとおり、体を動かすきっかけになる公園、また、外出のきっかけになる空間にしたいと考えています。
河合さん:もう少し整備の詳細をお伝えすると、新スタジアムには日常的にご利用いただける飲食店や売店の設置も予定していますし、トイレの改修も行います。スタジアムのコンコースを一般開放して、ランニングやウォーキングをしていただけるようにもする予定で、より長時間、留まりやすい公園になってくれると思います。ご自身で思い思いに使っていただければ嬉しいです。あらゆる方が訪れて、公園のいろんなところに笑顔があふれる風景を期待しています。
公園と地域がつながりながら、完成後もさらに進化する公園へ
――現在開催している講座や教室について教えてください。
河合さん:定期的に行っている講座は現在、年間90講座ほどあります。子育て世帯を対象とした講座もあり、赤ちゃんと一緒に運動していただくスタイルアップ教室や、保護者さんがリフレッシュできる託児付きのレッスン、こども新体操・体操教室、水泳教室など、その種類も非常に豊富です。
また、施設としてもスタジオ、アリーナ、テニスコート、ラクビー場、野球場、プールや弓道場もあるので、あらゆるスポーツ講座の企画を立てています。初心者向けの講座も多いので、さまざまなスポーツの入り口にしていただけると思います。
河合さん:講座に参加される方の中には、より専門的に取り組んでいきたいとクラブチームに入られる方もいらっしゃったりします。そういったご希望に応えられるよう、より多くの機会を提供できたらと思っています。今後は文化系の講座の開設も考えているので、新しい講座にも期待していただければと思います。
――地域とのつながりや、周辺の他団体との連携協働などがあれば、お聞かせください。
河合さん:近隣地域のみなさんと、密にコミュニケーションをとっているところです。先日は大学の学生さんと一緒にワークショップを行いました。その時に出たアイデアなのですが、大中小のイスやテーブル、パーゴラを貸し出して使っていただけるような仕組みを考えています。団体さんに自由に利用していただくなど、地元の方の活動が広がることを期待しています。近隣の保育園の職員さんの研修を瑞穂公園のスタッフが行っていて、一緒に子どもたちの運動環境を整えていくなど、私たちが所属しているミズノ株式会社のノウハウを還元できればとも思っています。
また、まだ先の話ですが、宿泊研修棟を開放してワークショップや講座の実施や普段からどなたでも立ち寄れる「縁側スペース」の整備も計画しています。2026(令和8)年春の完成後も市民の声を取り入れながら公園を進化させていく予定です。たくさんの方と繋がりながら大きな輪ができればと考えています。コンセプトのキーワードにしている「瑞穂LOOP」には輪、無限大など、いろいろな意味を込めています。
――「市丘町」エリアの住みよいと思われる点や、おすすめのスポットなどがあれば教えてください。
河合さん:山崎川です。春の桜はもちろん、新緑のシーズンもとても気持ち良くておすすめです。公園内で紅葉を見ることもでき、昆虫もいて本当に自然豊か。四季を通じて毎日、散歩していただくことができます。交通の利便性も良くて、「パロマ瑞穂スポーツパーク」の最寄駅が地下鉄桜通線の「瑞穂運動場西」駅と地下鉄名城線の「瑞穂運動場東」の2駅で2路線利用できるので、日常生活もおでかけもしやすいエリアだと思います。
――最後に、これからこのエリアに住まわれる方々に向けてメッセージをお願いします。
鷹野さん:いろいろな世代の方に来て楽しんでいただける、地域の中核となれるように、また、みなさんに「おすすめスポット」だと言っていただけるような公園を目指します。「名古屋市瑞穂公園陸上競技場整備等事業」はスポーツ施設を整備するだけではない、公園全体の魅力を高める開発をしています。公園の将来像を描きながら、地域の方と一緒に公園をつくっていきたいと思います。
パロマ瑞穂スポーツパーク
副統括責任者 鷹野 優基さん(右)
副統括責任者 河合 俊樹さん(左)
(株式会社瑞穂LOOP-PFI)
所在地:愛知県名古屋市瑞穂区山下通5-4
電話番号:052-836-8200
URL:https://mizuho-loop.jp/
※この情報は2024(令和6)年5月時点のものです。