特別インタビュー

「こまきこども未来館」や「小牧市中央図書館」がある小牧エリアで、にぎわいと魅力ある空間をつくる「小牧市 都市政策部 都市整備課」

小牧市の中心市街地は「小牧市中心市街地グランドデザイン」に基づいたまちづくりが行われ、新しい市民主体型事業によるイベントやワークショップなどによりにぎわいが生まれている街です。「小牧」駅前がさらに利便性の高い、魅力あふれる場所になるようにと再整備も計画中とのことで、さらなる発展が期待されます。

そんな小牧市は以前と比べてどのように街が変化してきたのか、また、市民の皆さまがどのようにまちづくりに参画しているのかを「小牧市 都市政策部 都市整備課」の皆さまにお伺いしました。

「小牧市 都市政策部 都市整備課」の田中さん、川島さん、坂野さん(左から)
「小牧市 都市政策部 都市整備課」の田中さん、川島さん、坂野さん(左から)

「小牧市中心市街地グランドデザイン」で、皆が同じ想いで取り組む小牧市のまちづくり

――まずは「小牧市中心市街地グランドデザイン」の概要と、策定に至るまでの経緯を教えていただけますでしょうか。

川島さん:「小牧市中心市街地グランドデザイン」は、街の将来像に「小牧山や中心市街地の魅力を活かし歩いて楽しめる活気あるまち」を掲げ、中心市街地のまちづくりの進め方を示した計画書です。

小牧市は以前から中心市街地の活性化に取り組んでいましたが、「小牧」駅前に「小牧市中央図書館」と「こまきこども未来館」を整備することをきっかけに、改めて中心市街地全体のまちづくりを考えていくために策定しました。

発展が続く「小牧」駅前の様子
発展が続く「小牧」駅前の様子

川島さん:経緯としては、2019(令和元)年に「グランドデザイン戦略会議」を立ち上げ、メンバーに学識ある方と地元の活動団体に入っていただき、まちづくりの方針を決めました。その後、具体的な計画を立てるために「策定委員会」を設置し、中心市街地で活動をしているさまざまな団体と数名の市民の方にも入っていただき、意見交換をしながら策定しました。

――「小牧市中心市街地グランドデザイン」の具体的な内容を教えてください。

川島さん:「小牧」駅から小牧山までを歩いて楽しめる街にしようと、「訪れたいまち」「住みたいまち」「活力があるまち」を目指す姿として、街の課題を洗い出しながら取り組み方を整理しています。

全体のデザインをきちんと決めましたので、市民、関係団体や庁内関係部署でさまざまな取り組みを進めるとともに、お互いが連携しながら進めていく計画となっています。

「小牧市中心市街地グランドデザイン」表紙(提供:小牧市)
「小牧市中心市街地グランドデザイン」表紙(提供:小牧市)

――グランドデザインができるきっかけにもなった「こまきこども未来館」と「小牧市中央図書館」ですが、整備される前と後では人の流れや街の変化はありましたか?

川島さん:こまきこども未来館」は幼児、児童向けの施設ということもあり、子育て世帯の方がたくさん訪れています。「小牧市中央図書館」は学生さんの利用が多くあります。デザイン性が高くカフェも入っているため、若い方が集まってきているのではないかと思います。

「グッドデザイン賞2021」を受賞した「小牧市中央図書館」
「グッドデザイン賞2021」を受賞した「小牧市中央図書館」

川島さん:そこで、施設に訪れる方々を中心市街地全体に波及させたいということで、図書館の北側から「小牧」駅の西側までに「にぎわい広場」を整備しました。「にぎわい広場」にはキッチンカーが並んだり、常に何かが行われているような雰囲気づくりをしてにぎわいの広がりができました。

また、ハード整備だけでなく、中心市街地活性化に向けて市⺠自らが企画してチャレンジするプロジェクトである「コマナカ meet」を立ち上げ、市⺠の皆さまと連携・協働しながら中心市街地の活性化を進めています。

整備された「にぎわい広場」の様子(提供:小牧市)
整備された「にぎわい広場」の様子(提供:小牧市)

坂野さん:街にも人通りが増えています。「小牧」駅周辺を含む中心市街地の歩行者と自転車の交通量のデータを見ると、新型コロナウイルス感染症が広がる前の2019(令和元)年度よりも2023(令和5)年度は8.6%ほど増えています。2020(令和2)年度3月に「こまきこども未来館」と「小牧市中央図書館」がオープンしましたので、その効果が現れているのではないかと思われます。

また、「こまきこども未来館」及び「小牧市中央図書館」の年間の来館者数についてですが、「こまきこども未来館」は以前までの「中央児童館」と比べ、約4.9倍に増加しています。「小牧市中央図書館」についても、以前と比べて約5.3倍に増加しています。さらに、「こまきこども未来館」に関しては3人に1人が小牧市外から訪れており、市外来館者の99%からリピートしたいという回答を得ています。

市外来館者からのリピート希望率が高い「こまきこども未来館」
市外来館者からのリピート希望率が高い「こまきこども未来館」

市民発案のまちづくりを実現させる「コマナカmeet」

――「コマナカmeet」について教えてください。

田中さん:中心市街地の活性化は行政の力だけでは進めることができません。グランドデザインにも、「行政だけでなく、さまざまな活動主体やまちづくりの担い手の参加が必要」と書かれています。これを具現化するための活動が「コマナカmeet」です。行政、市民、事業者などのさまざまな主体が連携・協働しながらまちづくりに取り組んでいくため、2022(令和4)年度にワークショップを行い、市民の方から中心市街地の活性化のためにどのような取り組みをすべきか、自由に意見を出し合っていただきました。

これまでは、ワークショプやまちづくりの話し合いをしてもアイデア出しで終わってしまうことが多くありましたが、まずは実現できそうなことにチャレンジしようと、2023(令和5)年度にスモールスタートしました。

2024(令和6)年の「コマナカmeet」成果報告会の様子(提供:小牧市)
2024(令和6)年の「コマナカmeet」成果報告会の様子(提供:小牧市)

――どのような活動が実現しましたか?

田中さん:2023(令和5)年度は例えば、道路の1区間を封鎖して道路上で「こまき街なか大運動会」を開催したり、「小牧」駅西側の芝生広場を青空カフェとして活用し、市民発案の地産地消サンドイッチを販売した「地産地消茶屋」や、市民が作ったステーブルやベンチなどを設置してくつろいでもらう「ストリートファニチャー」を実現しました。

2024(令和6)年度はさらに市民の皆さまに主体的に参画していただきたいという想いから、プロジェクト発案者がプロジェクトオーナーとなり、オーナーが市民の方に向けてやりたいことをプレゼン発表し、一緒に活動していくメンバーを募集しました。結果として7つのプロジェクトが実現しました。ストリートファニチャーのように2022(令和4)年度のワークショップから流れを組むプロジェクトもあれば、福祉、防災、イベント、子育てなど、幅広い分野で新しくご提案をいただいたものもあり、市民、事業者、行政が連携・協働しながら事業を実施することができました。

それぞれのプロジェクトがグランドデザインのどの施策に寄与しているのかまで考慮しながら、市民の皆さまと一緒になって中心市街地活性化を進めています。

「ストリートファニチャー」プロジェクトの様子(提供:小牧市)
「ストリートファニチャー」プロジェクトの様子(提供:小牧市)

――「コマナカmeet」を立ち上げてから、街や市民の皆さまの様子に何か変化はございましたか?

川島さん:想定以上にいろいろなアイデアを出していただいて、ご意見だけでなく、運営自体も市民の方に行っていただきながらアイデアが実現できています。中心市街地を盛り上げたいという気持ちを持った人や、市への愛着を持っている人たちと活動できて、こんなに街のことを想っている人たちがたくさんいるのだと改めて実感しました。このグランドデザインの策定により、どのようなまちづくりをしていけば良いか、より明確になったと思います。

「コマナカmeet」について笑顔でお話されていた川島さん
「コマナカmeet」について笑顔でお話されていた川島さん

さらなる利便性や快適性への期待が見込まれる「小牧」駅前

――「小牧」駅前広場の将来的な計画はありますでしょうか。

川島さん:もともと駐車場だった場所を現在のように、「小牧市中央図書館」に整備したり、図書館の北側をイベントができるような「にぎわい広場」にしたり、「小牧」駅西側を芝生広場にしてきました。今、都市部での芝生化が見直されているように、芝生広場は滞在したくなる雰囲気づくりや安らぎを得られる空間となっています。夏場だけでなく、冬場も青々とした状態を維持できるよう管理し、イベントの開催もされています。

整備された「小牧」駅前の芝生広場
整備された「小牧」駅前の芝生広場

田中さん:「小牧」駅は乗降客数1万人以上の駅で、日々の通勤通学で利用されている交通結節点でもありますが、「こまきこども未来館」や「小牧市中央図書館」と一緒に、「小牧」駅も核となるスポットにしたいという想いで、再整備の計画を進めています。2023(令和5)年に名古屋鉄道株式会社と小牧市は「交通・観光・まちづくりの推進に係る包括連携協力に関する協定」を締結しました。その内容に「小牧」駅の周辺整備事業が含まれています。

――先ほど「こまきこども未来館」には市外の方も訪れるというお話がありましたが、市外から小牧市に転居される方は多いのでしょうか。

田中さん:都市計画課では居住推進事業として定住促進の補助金制度を設けていますし、保育料は0歳児から無償化の対象になっているなど、子育てしやすい環境が整っています。私自身も小牧市は子どもを育てやすい街だと思っています。

小牧市での子育てのしやすさについてお話される田中さん
小牧市での子育てのしやすさについてお話される田中さん

田中さん:小牧市全体の人口は減少傾向ではあるものの、「こまきこども未来館」や「小牧市中央図書館」があることや、暮らしやすさもあるためか中心市街地周辺の居住者数は概ねキープされています。グランドデザインの中にも「住みたいまち」の指標として、中心市街地の居住者数の上昇を目指していますし、小牧市としても転入者の増加は大歓迎です。

都市機能集積ゾーンも歴史・文化ゾーンもあるバランスのよい小牧エリア

――小牧市の魅力や、おすすめスポットを教えてください。

田中さん:小牧山の東側にあった旧中央図書館の跡地に公園を整備していまして、「こまき山イーストパーク」の愛称で2025(令和7)年6月頃にオープンする予定です。毎日、通勤途中に工事の様子を見ていますが、園内にカフェができて、小牧山を眺めながらくつろいだり子どもが遊んだりできそうです。公園ができることによって人の流れや街のにぎわいがどう変化していくのかが楽しみで、いちおしのスポットです。

「小牧山東公園(こまき山イーストパーク)」  完成予定CG(提供:小牧市)
「小牧山東公園(こまき山イーストパーク)」 完成予定CG(提供:小牧市)

坂野さん:「ラピオ」の最上階でもある5階の西側に大きな窓があって、そこから中心市街地と小牧山周辺の景色が一緒に見える景色が好きです。また、「ラピオ」から「小牧山」へ向かって西の方面はお寺や神社が集中していて、歴史文化を感じられるのでおすすめです。

川島さん:まさに「小牧」駅から「小牧山」まで続くその道は小牧市のシンボルロードで、ここを歩いてもらいたいという思いもあり、電柱を地中化するなどのグレードの高い景観整備を進めました。

シンボルロードのお寺や神社が集まる歴史文化エリア
シンボルロードのお寺や神社が集まる歴史文化エリア

――これから小牧市に居住を考えている方へメッセージをお願いします。

川島さん:小牧市は「小牧」駅を中心に公共交通が充実しているエリアとして、再整備の計画をしているところです。小牧市内の移動も民間バスだけでなく、こまき巡回バス「こまくる」が市内23路線走っていて人口カバー率99%を占めるなど、公共交通の利便性が高いことが特徴です。

特に駅周辺のエリアは「こまきこども未来館」や「小牧市中央図書館」があり、西には「小牧市民病院」や自然と歴史を感じられる「小牧山」もあり、魅力ある暮らしやすいエリアです。「コマナカmeet」のように市民と行政が一緒に活動する活気もある街です。ぜひ、小牧市に住んでいただきたいと思います。

「小牧市 都市政策部 都市整備課」の田中さん、川島さん、坂野さん(左から)
「小牧市 都市政策部 都市整備課」の田中さん、川島さん、坂野さん(左から)

小牧市 都市政策部 都市整備課

都市整備課 課長 川島充裕さん
都市整備係 係長 田中一平さん
都市整備係 技師 坂野祐輔さん
所在地:愛知県小牧市堀の内3-1
URL:https://www.city.komaki.aichi.jp/admin/
※この情報は2025(令和7)年2月時点のものです。