安城市役所 企画部・企画情報課 インタビュー

「健康で幸せに」誰もが願うことを追求した自治体施策「ケンサチ」

2016(平成28)年より、「健幸都市推進プロジェクト」を開始し、すべての施策分野に「健康」の視点を取り入れてきた安城市。「健幸(ケンサチ)」というキーワードを生み出し、街中でも印象的な赤い「ケンサチ」のロゴが使われている光景をよく見かける。「“健やかで幸せにありたい”という市民の思いを実現させることは自治体運営の原点かもしれない」と企画部・企画情報課の太田さんが話すように、市民に共通した基本的な願いをプロジェクトの柱に据えた考え方は多くの人から支持を受け、浸透度も高い。
「ケンサチ」の考え方とは何なのか、具体的な取り組みについて、安城市企画情報課を訪ね詳細を伺った。

体の健康のみならず、心の豊かさも追求する「ケンサチ」

安城市が発行している「ケンサチブック」
安城市が発行している「ケンサチブック」
――「健幸」は「ケンコウ」ではなく「ケンサチ」と読むのはなぜでしょうか。

山田さん:「ケンコウ」と聞いてみなさん思い浮かべるのは「健康」、つまり主に体のことだと思いますが、安城市としては体だけでなく、心にも着目したいと考えています。市民が健康であること、家族が健康であること、その願いが実現して、つながり支えあうことが「健幸(ケンサチ)」であると考えています。ですので、あえて「ケンサチ」と呼んで差別化を図っています。

伴野さん:2016(平成28)年からスタートした「第8次安城市総合計画」では、策定にあたって市民の皆さんへのアンケートやディスカッションを重ね、共通した願いは「健康で、幸せでありたい」であることがわかりました。そこで重点的な施策として「健幸都市推進プロジェクト」を進めることになりました。

――「ケンサチ」という赤のロゴマークが印象的ですね。市民の方への浸透度も高いですか?

山田さん:今年でプロジェクトが始まって4年目でちょうど折り返し地点です。今では「ケンサチ」というキーワードを使って「ケンサチマラソン」や「ケンサチグルメ」など、市民や事業者の方がそれぞれにアイデアを生かして活動してくださることが増えました。

山田さん:プロジェクトを始めるにあたって「ケンサチムービー」というPR動画も作りました。ゾンビが市内の各地で踊って健康になっていくというストーリーですが、主演には同市出身で、日本一かわいい女子高生を決めるコンテストでグランプリになった“りこぴん”こと永井理子さんを起用させていただきました。インパクトのある歌と踊りで構成されているので、保育園や幼稚園で踊っていただいたり、ダンスサークルの発表に使っていただくことも増えました。

■ケンサチムービー
https://www.youtube.com/watch?v=KUssoFel82o

「ケンサチグランプリ」で選ばれた3つの事業が進行中

――「ケンサチグランプリ」というものも開催されたと伺いました

伴野さん:「健幸」づくりを実現するには行政だけの力だけでは難しい部分もあり、企業の方や市民団体の方にも協力を仰ぎ、その事業先を選定するため、公開による選考を行いました。そこから3つの事業を選定し現在プロジェクトを進行中です。

――3つの事業について具体的に教えてください

「ファミリー農園」の様子
「ファミリー農園」の様子

伴野さん:一つ目は「創年塾 耕し人」が行う「アグリパーク安城」という事業です。初心者でも気軽に野菜作りができる「ファミリー農園」の運営や、野菜作りの仲間が集まって情報交換をしたり朝市などを開くこともできる「まちなかアグリ」という場所も開いていただいています。毎月第1日曜日と第3水曜日に開催される朝市では新鮮な野菜が販売されるので、それを楽しみに買いにくる市民の方も多くなっています。

スギ薬局が行う「安城健幸ステーション」
スギ薬局が行う「安城健幸ステーション」

伴野さん:二つ目は「株式会社スギ薬局」の「安城健幸ステーション」です。毎月第二火曜日に安城市内の3か所の福祉センターと「スギ薬局 東栄東店」で健康測定を実施して、健康測定の結果に基づき管理栄養士の方が食事・運動指導を行っています。

「ウォーキング・ストレッチングからはじめよう☆スマイルランニング」の様子
「ウォーキング・ストレッチングからはじめよう☆スマイルランニング」の様子

伴野さん:三つ目は、「快速AC」さんと「株式会社cokore」さんが行う「ウォーキング・ストレッチングからはじめよう☆スマイルランニング」という事業です。毎月第一・第三日曜日の朝、市内の7会場で集まってランニングやウォーキングを行っています。

――3つの事業を通して市民の方からはどんな感想が出ていますか。

5月に本證寺周辺で開催された「安城市わくわくリレーフェスティバル~おてらん~」
5月に本證寺周辺で開催された「安城市わくわくリレーフェスティバル~おてらん~」

伴野さん:「アグリパーク安城」で行われている「ファミリー農園」ではお子さまが野菜づくりを体験する姿も多く、最近は体験しにくくなった野菜作りを気軽にできる場所があってうれしいと聞いています。自分たちで作った野菜を食べることは食育にもつながります。

山田さん:「スマイルランニング」は初めての方でも参加できるような気軽なものですが、「快速AC」さんが主導して「安城市わくわくリレーフェスティバル~おてらん~」という安城市野寺町にある本證寺を舞台にしたイベントも開かれています。実際に私も参加させてもらったのですが、想像以上に楽しくてびっくりしました。私は全く走った経験がなかったのですが、歴史のある場所を走るのも気持ちよかったですし、何よりチームで参加するリレーマラソンなので、「あと少しだよ頑張れ」などと声掛けしてもらえてすごく力が湧きました。

太田さん:「お寺RUN(おてらん)」は今年で3回目の開催ですが、今後も続いていってもらいたいですね。2019(令和元)年の9月16日(月・祝)には、「親子de かけっこケンサチランクリニック」という日本代表の経験を持つゲストアスリートによるレッスン会も予定しています。この事業で目指しているのは、まったく運動したことがない人が走ってみようかなと思ってもらうきっかけを作ること。市の行事として「安城シティマラソン」なども行っていますが、そちらは本格的なものなので、初めての方でも安心して参加できる体力づくりの場があるのはいいことかなと思っています。

体の健康だけでなく人と人とのつながりを感じられることが「幸せ」となる

安城市企画部 企画情報課 課長補佐 太田さん
安城市企画部 企画情報課 課長補佐 太田さん

――「ケンサチ」の取り組みが始まって4年目を迎えますが、どのような成果が上がっていますか。

太田さん:市民アンケートを定期的に取っており、「健幸のために普段から心掛けていることを教えてください」という項目もあり、この結果がまた面白いんです。「年1回、健診を受ける」という項目や「運動や体を動かす」といった項目は比較的高齢層で高くなる傾向があり、逆に若年層だと「趣味を持つ」「よく笑う」「家族や友人と支え合う」といった項目が高くなる傾向があります。このアンケートから「ケンサチ」とは運動をする、健診をするといった体に関係あることばかりでなく、心の豊かさみたいな部分も含めて捉えられていることがわかります。

――人と人のつながりを醸成することが「ケンサチ」につながっているのかもしれませんね

安城市企画部 企画情報課 企画政策係 伴野さん
安城市企画部 企画情報課 企画政策係 伴野さん

伴野さん:なかなか数字にはしにくい部分ではありますが、きっと「つながり」を意識できることが大きいのかなと思います。

太田さん:「つながり」が増えると、犯罪件数も減ってくるのではないかなと思っています。隣近所に誰が住んでいるかわからないような地域よりもコミュニティがしっかりしていた方が犯罪が減るというのは一般的な話であると思います。そう考えると、改めて「ケンサチ」って奥が深いなと感じています。「ケンサチ」は福祉部門や健康部門だけの取り組みと思われがちですが、実はすべての部署にまたがるキーワードなんです。

――防犯、防災の面はもちろんのこと、文化的なところまでつながりそうですね

太田さん:街への愛着は心の豊かさになると思っています。ウォーキングで歴史的なスポットを歩いたり、サークル活動で絵を描いたり歌をうたったりすることも「ケンサチ」に繋がるのかなと思っています。

――安城市中心市街地拠点施設「アンフォーレ」があるのも大きいですね

安城市企画部 企画情報課 企画政策係 山田さん
安城市企画部 企画情報課 企画政策係 山田さん

伴野さん:市民の方が自由に使うことができる貸しスペースがあるのですが、人気でなかなか予約がとれないほど人気なんです。

山田さん:子ども向けの図書スペースも充実していますし、子育て世代の方も利用しやすい場所なのではないかと思います。大きなホールもあるので、サークル活動されている方などは、あの舞台を目指して頑張ろうと思ってもらえるのではないかと思います。

「アンフォーレ」前には広いスペースがあり子どもたちが遊ぶ姿が見られる
「アンフォーレ」前には広いスペースがあり子どもたちが遊ぶ姿が見られる

――「ケンサチ」を通してご自身の生活で変わったということはありますか?

太田さん:実は私自身、今年から野菜作りを始めたんです。今、トマトやナスなどの夏野菜がたくさん獲れていて、職場で配ったりしています。「美味しい」と言われるととてもうれしいですね。いずれは地元の小学校などで子どもたちに野菜作りを教えたいなという夢を抱くようにもなりました。まさに「ケンサチ」があったからこそ見つけられた私の第二の夢。もしかしたら、私が一番「ケンサチ」に影響を受けた一人かもしれません。

交通の要所である安城は本当に住みやすい街

――最後に、これから安城市にお住まいになられる方に向けてメッセージをお願いします

山田さん:安城市は、名古屋へ約25分でアクセスできる、非常に交通の便がよい場所です。また、商業、工業、農業のバランスがとれている街でもあります。児童センターや福祉センター、公民館も各地区に揃っているので、子育て世代からご年配の方まで安心して暮らし続けられるのではないでしょうか。2027(令和9)年にはリニア中央新幹線の開業によって、首都圏からのアクセスが1時間ほどになるので、そういった意味でも今後に期待していただきたいと思います。

安城市役所の前にたつ「ケンサチ」の看板
安城市役所の前にたつ「ケンサチ」の看板

伴野さん:アンケートで安城市の住みやすさについて聞いている項目があるのですが、9割以上の方が “住みやすい”と回答しています。これだけの方に住みやすいと思ってもらえる街はなかなかないと思うので、本当にいい街なんだと自負しています。市内には「堀内公園」というファミリーにぴったりの公園もあって、入場料無料で、観覧車やミニSL、メリーゴーラウンドを1回50円~100円で楽しむことができます。また、「安城産業文化公園 デンパーク」では教育玩具の開発や販売を行うボーネルンドがプロデュースする遊び場があったりもします。ファミリーで利用しやすい施設が充実しているのも住みやすいポイントの一つだと思っています。

太田さん:日本全国で人口が減少していますが、安城市では人口が増加しています。そういった意味でも、将来を期待できる街だと思っています。市内にはJR東海道本線や名鉄線のほか、東海道新幹線の「三河安城」駅もあります。道路も名古屋岡崎線の安城市内の区間が2019(令和元)年度に開通予定で、ますます便利になると思います。みなさんに安心して住んでいただける街になるように、我々も努力していきたいと考えてますので、ぜひ安城市にお住まいいただきたいですね。

企画情報課のみなさん
企画情報課のみなさん

安城市役所 企画部 企画情報課

左から
課長補佐 太田芳樹さん
企画政策係 山田紗織さん
企画政策係 伴野裕樹さん
所在地:愛知県安城市桜町18-23
電話番号:0566-71-2204
URL:https://www.city.anjo.aichi.jp/
※この情報は2019(令和元)年7月時点のものです。