インタビュー

『明るく 強く 美しく』を校訓に、地域に見守られ学び合う「名古屋市立陽明小学校」

1954(昭和29)年に創立された「名古屋市立陽明小学校」。瑞穂区の閑静な住宅街にあり、小高い丘陵地上に位置している。学校の南西には山崎川や「瑞穂公園」、南東には子どもたちの遊び場となる「密柑山公園」」など自然豊かな環境が広がる。地域コミュニティなども積極的に学校や子どもたちに関わるという同校で子どもたちはどのように成長しているのか、2020(令和2)年度に着任された伊藤勇治校長にお話を伺った。

お話を伺った伊藤勇治校長
お話を伺った伊藤勇治校長

創立70周年を迎える伝統校、校舎はより快適にリニューアル

― まず、「名古屋市立陽明小学校」の今日までの歩みと、現在の様子をご紹介ください。

伊藤校長:本校の創立は1954(昭和29)年。本年度で70年目を迎え、来年度には70周年を記念した行事の開催も予定しています。

本年度は781名の児童数でスタートしました。学級数は、1・2年生が5学級ずつ、 3・4・5年生が4学級ずつ、6年生が3学級、特別支援学級が2学級あります。名古屋市独自の施策を含め、小1・小2は30人学級、小3~小5は35人学級、小6は40人学級での編制になっています。

瑞穂区の丘陵地上に立つ「名古屋市立陽明小学校」
瑞穂区の丘陵地上に立つ「名古屋市立陽明小学校」

― 児童数の変化や転出入についてはいかがでしょうか。

伊藤校長:数世代にわたってこの地域に住まわれているご家族や、学区内で引っ越しをされる方がいらっしゃるので、児童数は微増程度ですが、学区内に集合住宅やマンションも建っているため、毎年、十数人の転出入があります。

― 続いて施設・設備の特色についてお聞かせください。校舎は丘の斜面が利用されているのでしょうか。

伊藤校長:学校の敷地の配置を説明すると、南から北に向かって低く、南から順番に通常学級が入る南校舎(4階建て)、校長室や職員室のある北校舎(5階建て)、校庭が並んでいます。正門から入ると校長室は1階にあるように感じますが、校庭から見ると2階になります。

北校舎の4階と南校舎の3階がつながっている特徴のある校舎です。また、2020(令和2)年度から2021(令和3)年度にかけて北校舎がリニューアル改修され、エレベーターが設置されました。また、今年度は南校舎のリニューアル改修工事を進めているところです。

北校舎に新しく設置されたエレベーター
北校舎に新しく設置されたエレベーター

シンボル「ふたばの子」像のように伸びやかな児童育成に取りくむ

― 正門の脇に飾られている「ふたばの子」像についてもご紹介いただけますか?

伊藤校長:はい。本校のシンボル「ふたばの子」の像には「栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし)」の言葉にあやかり、成人して大成を得る者は幼少期から他人を逸する何かを持つという意味 から『双葉のように伸び伸びと、立派な子どもになりまよう』という願いが込められています。毎日、登下校する子どもたちに微笑みかけてくれています。校歌の題名も「ふたばの子」なのです。

両手を拡げている「ふたばの子」の像
両手を拡げている「ふたばの子」の像

― 学校の教育目標を教えてください。

伊藤校長:教育目標は「心身ともに強く、最後までがんばりぬく子、豊かな知性と美しい心情をもつ子の育成」です。校訓の「明るく強く美しく」には、「太陽のように明るく 心もからだも健康な子、草のように強く 最後までがんばりぬく子、花のように美しく 思いやりのある心の温かい子」、の想いが込められています。また近年は学校運営のテーマとして「進んで学び合い、関わり合う、児童の育成」を掲げ、協働的な学びに取り組んでいます。

運動会が開催される広々した校庭
運動会が開催される広々した校庭

― 伊藤校長は日頃どのように子どもたちと接していますか。その際に心がけていることも教えてください。

伊藤校長:毎朝、門に立って子どもたちに挨拶をしています。最も多くの児童が通る東門には、月・水・金に、火曜日は南門、 木曜日は正門に立つようにしています。

名古屋市が掲げているあいさつ活動「あい・あい・あいさつプロジェクト」で行っている11月のあいさつ月間には、プロジェクトのマスコットキャラクター「あいモン」のパペットにも登場してもらい、子どもたちに挨拶の大切さ、気持ちよさを伝えてもらいました。

給食時間後にも、食器などの返却に来る子どもたちの様子も見るように心がけています。子どもたちは給食後が最も穏やかな顔をしていますね(笑)。やはり定番のカレー麺は人気です。そのほかのメニューも積極的に食べてもらいたいため、教職員から給食のメニューには栄養バランスが考えられていることを伝えてもらっています。

調理員さんが手書きで毎日、給食メニューを廊下に貼り出す
調理員さんが手書きで毎日、給食メニューを廊下に貼り出す

日常的な学習や欠席時の対応にタブレットを活用

近年のコロナ禍なども経て、貴校におけるICT教育の実践について教えてください。

伊藤校長:文部科学省の掲げる「GIGAスクール構想」に取り組み、全児童に学習用タブレットを配布しています。今の気分を天気マークで示す機能や連絡帳機能があるツールを日常的に活用するほか、「思考力」「プレゼン力」「英語4技能」を育てる授業支援クラウド型ツールや、一人ひとりの習熟度に合わせて最適な問題を出題するアダプティブラーニング教材なども活用しています。

「名古屋市立陽明小学校」教室
「名古屋市立陽明小学校」教室

柔軟な自主性で運営されるPTA活動、学校拠点のコミュニティカフェ「FUTABUKS CAFE(フタバックスカフェ)」も地域と連携

― 地域の方々との交流などはいかがでしょうか。

伊藤校長:先ほどもお話ししましたが、名古屋市はあいさつ運動が盛んで、本小学校区の方たちは毎月「0」の付く日(10日、20日、30日)にピンクのジャンパーを着用して子どもたちの登下校を見守ってくださっています。

― 地域をフィールドとした校外学習などは実施されていますか?

伊藤校長:学年のカリキュラムに合わせた校外学習を行っています。例えば、1年生は近くの「瑞穂公園」へどんぐり拾いに出かけますし、低学年は生活科の学習で学区探検をして地図作成をします。

「瑞穂公園」
「瑞穂公園」

― 保護者の方々との関わりやPTA活動はいかがでしょう。

伊藤校長:これまでの学級委員制度を廃止し、2020(令和2)年度からは立候補制によってPTA役員を決め、さまざまな活動はボランティアを募ることになりました。そのため、手を挙げてくださった方ができる範囲でのPTA活動となっています。地域の学区連絡協議会が主催するコミュニティカフェ「FUTABUKS CAFE(フタバックスカフェ)」に協賛するなど、新たな活動も始まっています。

私にとってありがたい出来事もありました。コロナのため一斉休校になってしまった2020(令和2)年の新年度スタートの際、当時のPTA会長だった方が学校と家庭をつなぎ、朝の会のオンライン配信を率先して行ってくださったのです。私は「陽明小学校」に就任した直後だったので、この時の朝の会でやっと皆さんに挨拶することができました。

― コミュニティカフェ「FUTABUKS CAFE(フタバックスカフェ)」について、詳しくお聞かせいただけますか?

伊藤校長:「FUTABUKS CAFE(フタバックスカフェ)」は、学区連絡協議会さんの「地域のみなさんが集まる場を作りたい」との想いから発足された食堂です。2022(令和4)年5月からスタートし、毎月第3日曜日に開催されています。小さなお子さんから高齢者までどなたでも利用していただくことができる、いわゆる、世代間交流ができるコミュニティ食堂です。本校が会場となり、PTAの方々や本校児童がボランティアで運営を手伝っています。このようなコミュニティの場を地域の方たちが積極的に企画してくださっています。

地域連携について語る伊藤校長先生
地域連携について語る伊藤校長先生

公園、大学などの施設が充実している子どもの学び環境

― 周辺地域の魅力についてもお聞かせいただけますか?行事も多いのでしょうか。

伊藤校長:「瑞穂公園」内の「パロマ瑞穂レクリエーション広場」で11月に「瑞穂区民まつり」が開催されますし、近くの「名古屋市立大学 田辺通キャンパス」で開かれる「薬学祭」では、子ども向けの実験コーナーや製薬体験コーナーが用意されているので、毎年、児童たちは楽しみにしているようです。馬術部による馬とのふれあいや餌あげ体験もあるそうです。

また、同じく近くの「愛知みずほ大学」の学生さんがボランティアで、本校の運動会や就学児健康診断を手伝ってくださいます。子どもとの関わりや教育現場の様子に触れたいという教員を目指す学生さんが来てくださいます。

「薬学祭」が開催される名古屋市立大学 田辺通キャンパス
「薬学祭」が開催される名古屋市立大学 田辺通キャンパス

― さまざまな施設や機会があり、子どもたちにとって豊かな体験ができる環境ですね。

伊藤校長:保護者にお聞きすると、休日は学区外に出かけることもあるそうですが、普段は身近な「山崎川四季の道」での散歩や、子どもたちは「密柑山公園」で遊ぶことが多いそうです。「密柑山公園」は広い公園で段がついているため、登ったり降りたり、基地を作って遊んだり、子どもたちはテンションがあがるようですよ(笑)。

近くに多彩な施設がありますし、地域の方の見守りもあり、子どもたちは安心して楽しく日常を過ごすことができる環境だと思います。

休日には子どもたちの遊びの場にもなる「山崎川四季の道」
休日には子どもたちの遊びの場にもなる「山崎川四季の道」

名古屋市立陽明小学校
名古屋市立陽明小学校

名古屋市立陽明小学校 伊藤 勇治 校長先生

所在地:名古屋市瑞穂区密柑山町1-1
電話番号: 052-831-7241
URL:https://www.nagoya-c.ed.jp/school/yomei-e/
※この情報は2023(令和5)年5月時点のものです。